「ししとう」って知っていますか?正式名称は「ししとうがらし」で、実の先端が獅子の頭の形状をしていることから名付けられたといわれています。
ピーマンよりは小さく、ほろ苦さがたまらない大人の食材です。たまに激辛並みの「ししとう」に当たることもありますが、本来はナス科のトウガラシ属で甘い品種に属しています。煮ても良し、焼いても良し、てんぷらにするのも良し、さまざまな料理で大人の味を楽しむことができますね。
重要なポイントを知ることで、すごく美味しい「ししとう」ができるって知ってましたか?この記事では「ししとう」の育て方やお手入れ方法などについて詳しく解説します。
ししとうの育て方
「ししとう」の栽培は簡単にすることができます。暑さを好み、比較的栽培しやすいため、初心者にもおすすめです。実つきが良く、たくさん収穫できるので、家庭菜園でも人気の野菜です。
[育て方に適している時期]
・種まき:3~5月
・植え付け:5月中旬~6月上旬
・収穫:7月初旬~9月下旬
[適正温度]
・生育適温:25 ~ 30℃
ししとう栽培の準備
ししとうがらしの種 | 改良ししとう/翠臣 |
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土 | 排水性と保水性のバランスの取れた土/土壌酸度(中性~弱酸性) 野菜用の培養土など。 |
害虫対策 | 薬剤/マルチシートなど |
おすすめの肥料 | 化成肥料など |
あると便利なアイテム | プランター/支柱/寒冷紗/遮光ネット/マルチシート/ひも/ハサミなど |
ししとうの種類
「ししとう」は、ナス科トウガラシ属の中でも、ピーマンと同じで辛みの少ない甘味種になります。ピーマンのように成熟すると赤くなりますが、普段食べるのは熟する前に収穫された緑色のししとうです。
・「改良ししとう」 …夏の暑さに強い、家庭菜園向きのつくりやすいシシトウです。とくにビタミン類が豊富で、辛みはほとんどなく、風味がよいので幅広い料理に適します。(シシトウ 「改良ししとう」 の特徴や育て方のポイントより)
・「翠臣」…果実は細長く、尻がまとまる緑色鮮やかなシシトウです。生育の勢いがよく、栽培の中~後期にたくさん果実がなります。(早生シシトウ 「翠臣」の特徴や育て方のポイントより)
プランター選び
「ししとう」のプランターサイズは、標準タイプ以上の深型のプランター(60㎝以上)がおすすめです。大型で深型の植木鉢でも栽培できます。
土のこだわり方のポイント
「ししとう」は、排水性と保水性のバランスが取れた用土を好みます。保水性と排水性のバランスがとれて、土粒内に水分が保持された状態なら、根が湿りすぎたり、乾きすぎることがなく栽培に適しています。
「排水性」(水の通り道をしっかり確保できること。水はけが良いこと。)
・水はけのよい土…たっぷり水を与えるとすぐに鉢底から流れ出てくる。
・水はけが悪い土…水を与えてから、鉢底から流れ出るまでに時間がかかる。
「保水性」(植物に必要な水分を、常に保持できること。)
・水持ちがよすぎる土…土の中の空気が不足する。
・排水性がよすぎる土…必要な水分が土の粒に保たれず急激に乾燥してしまう。
「土壌酸度」(適正pHは、5.5〜6.5程度で、中性~弱酸性を好む。)
・アルカリ性が強い土や酸性が強い土は、養分の吸収が悪く、根が生育障害を起こす。
地植えの場合 | 種まきや植え付けの2週間前に、畑1㎡につき苦土石灰を150〜200gまきよく耕しておく。その1週間後、畑1㎡につき堆肥を2kg、化成肥料50gを均等にまき、よく耕して畝をつくったら、1週間土をなじませる。 |
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プランターの場合 | 赤玉土6:腐葉土3:バーミキュライト1の割合で混ぜたものに、用土10Lあたり、苦土石灰を10g、化成肥料を20〜30gほどまぜ、1週間なじませる。 |
植物は土の中に根を伸ばして、水分や養分を吸収して生育します。根が伸び伸びと育つためにも土づくりはとても大事。土が悪ければ十分に根が張れず、茎や葉が支えられず、植え付け後の生育が悪くなります。植物栽培のコツは、まずは根を健康に育てることです。根が元気に活動するためには、根の住まいである土を知り、植物が喜ぶ土づくりをしましょう。
植物が育つ土作り|住友化学園芸より
種から植え付けるときのポイント
「ししとう」は種からの育成も可能ですが、発芽温度が25℃~30℃前後と高温性の種のため、温度管理がやっかいな野菜です。「ししとう」の種まきは、3〜4月中旬までに行うのがベストですが、温度管理が重要になります。
3~4月中旬は、まだまだ気温が低いので日当たりのよい風の当たらない場所や、ビニールハウスなどで保温しながら発芽させましょう。初めての栽培なら苗からの育成が良いでしょう。
[ししとうの種まき時期]
直まき | 4月中旬以降。(日中の気温が20℃を超えるようになってから) ①1か所あたり種を3~4粒まく。種を埋める深さは約10mm。 ②気温が低い時期は、トンネル掛けやプラスチック製のドームキャップなどを被せて保温しておく。 |
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ポットまき | 2月中旬以降。(苗を植え付ける日から逆算して60~70日前) ①1か所あたり2~3粒まく。種を埋める深さは5~10mm。 ②発芽してから一番花が咲くまでは暖かな場所で苗を育てる。 |
「ししとう」の発芽適温は25~30℃です。ししとうの種を直まきするときは、温度管理が難しいため、時期外れにまいてもうまく発芽しません。発芽には最低でも20℃以上が理想です。
苗から植え付けるときのポイント
ししとうの苗の植え付けは、5月に入った十分に暖かい時期に行いましょう。丈夫な苗を選ぶことがポイントです。苗の植え付けは、一番花が咲いてから植えましょう。
・茎から5㎝ほど離れた場所に、30㎝程度の長さの支柱を立て(仮支柱)、ひもで固定しましょう。
・植え付けを行う5月の中旬以降でも夜の気温は低いため、苗を守る寒冷紗などで、支柱の周りにかぶせて夜風から守ってあげましょう。
これで「ししとうの栽培の準備」は完璧です。
ししとうの「お手入れ方法」
水やり
「ししとう」の水やりのポイントがいくつかあります。
種まき後~発芽まで 苗を植えて~根付くまで | 水切れを起こさないようにこまめに水やりをする。 |
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苗が根付いてから | 用土の表面が乾いたタイミングで水やりをすればOK。 (毎日与える必要はありません。) |
気温が上がり夏場以降 | 朝と夕方の合計2回の水やりを行う。 |
地植えの場合 | 水やりは基本的に必要としないが、梅雨明け後の晴天が続く時期に、1週間以上雨が降らないようであれば、たっぷりと水をあげること。 |
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プランターの場合 | 夏場は、基本的に朝夕の1日2回が目安。それ以外の時期は、表土が乾燥していたら、たっぷりと水をあげること。 |
ししとうは青唐辛子の辛み成分を抜いて、食べやすく品種改良したものです。そのため強いストレスを受けると、もともともっていた辛み成分をつくる遺伝子が通常より活発に働いてしまうのだとか。
支柱立て
ししとうの苗が成長して一番花のつぼみがついたら、その上から2股に枝分かれしていくので、その2本を伸ばしていくように2本仕立てで育てましょう。
・仮支柱を抜いて、長さ60cm程度の支柱をXの形でクロスさせ、伸びていく2本の枝に沿わせて支柱同士を結び固定する。
・麻ひもなどで8の字に支柱と茎を固定する。
芽かき
葉が増え過ぎると日当たりや風通しが悪くなるので、一番花から下に出てくるわき芽はその都度取りましょう。
・植え付け時
・最初の実がつく時(5月中旬~6月中旬)
1番花から下の「わき芽」はすべてつけ根から摘み取りましょう。
栽培場所
「ししとう」は直射日光が当たり過ぎると、日焼けや黒いシミができてしまいます。花が咲いてからは半日陰になる場所が適しています。
追肥・摘花・摘果
・追肥
「ししとう」は、6月上旬の3本仕立てにした時期から収穫まで、定期的に追肥をしてあげましょう。
・1ヶ月に2回ぐらい
・一株につき化成肥料20g
株周りにドーナツ状にまき、付近の土をほぐしながら混ぜ合わせ、株元に土を寄せましょう。
化成肥料のおすすめはこちら↓
・摘花
花を咲かせてしまうと生殖成長に切り替わるので、成長が止まってしまいます。5〜7番花くらいまでは「摘花」をして、株を成長させましょう。
・摘果
プランターに苗を植えた後、花や実が付いてもあまり新芽が出てこない場合は、苗に負担がかかっているということです。小さな実を摘み取る「摘果」をして、苗への負担を軽減させましょう。肥料を与え、生育に勢いが出てきてから実を付けさせます。
害虫対策・連作障害
・害虫対策
「ししとう」には、タバコガ、ヨトウムシ、カメムシ、ハダニなどあらゆる害虫が発生します。
・苗の植え付け時期に駆除粒剤を撒く
・発生初期に薬剤を散布する
オオタバコガの幼虫などは、ししとうの実の中に潜入してしまうので薬剤のかかりが悪い。
抵抗性発達の心配もあるので、防虫ネットを張ったり、マルチシートなどを設置して飛来を防ぎましょう。
ししとう【鉢植え】につきやすい害虫・かかりやすい病気について、対策に役立つ薬剤をご紹介します。
・連作障害
ウリ科、ナス科の野菜に連作障害がでますので、ピーマンやナスなどを育てた畑では3〜4年ほど期間をあけるようにしましょう。
収穫
開花から2週間〜20日 | 実が3〜4cmと小さなうちに収穫する。 |
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収穫中期以降 | 実の長さが5〜7cmぐらいで収穫する。 |
収穫の時には、ハサミを使用しましょう。手で無理に収穫すると、枝が縦に割れてしまうことがありますので注意しましょう。
「ししとう」は、βカロテンを多く含み、抗酸化作用などに効果を発揮します。また、食物繊維も豊富なので、整腸作用などに効果的です。他にもビタミンC、K、B6、カリウムなどを含む栄養豊富な野菜です。
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「ししとうの育て方」まとめ
「ししとうの育て方」は簡単なようで、細かな観察やお手入れが大事なポイントでしたね。
たまに当たる辛いししとうもクセになりそうですが、辛くさせないコツは、ズバリ!「ストレスを軽減してあげること!」です。一番のストレスは、乾燥状態を避けることです。カラカラに乾燥した状態は、ししとうはストレスを受けて辛くなってしまいます。とくに夏場から秋にかけての収穫期は、水切れを起こしやすいので注意しましょう。
①市販の培養土を用意する。
②丈夫な苗を選ぶポイントを参考に、苗を選ぶ。
③晴れた午前中に、苗を植え、仮支柱を立てる。
⑤苗が成長して一番花のつぼみがついたら、支柱を立てる。
⑥一番花から下に出てくるわき芽を、芽かきしよう。
⑦直射日光を避け、遮光ネットなどを使い、半日陰になる場所で育てましょう。
⑨薬剤やマルチシートなどで、害虫対策をしよう。
⑩収穫時期に合わせ、早めに収穫しよう。
①植え付けの2週間前に、畑をよく耕しておく。
②・(種から植える場合)温度管理に注意しながら、種をまく。
②・(苗から植える場合)晴れた午前中に、苗から植える。
④~⑩は「ししとうの育て方~プランター編~」を参照。
「ししとうの育て方」は、初心者は苗を購入して育てると、1ヶ月もしないうちから収穫が楽しめます。適度な水やりや肥料を与えるなどのお手入れをすると、長期間にわたってたくさん収穫できますね!
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