最近、「オクラ」の育て方が気になっている方はいませんか?あのネバネバ食感を好きなだけ食卓で楽しめたら嬉しいですよね。
サラダや和え物、天ぷらなどさまざまな料理に使われる「オクラ」は、栄養価が高く見た目にも身体にも優しい彩りを与えてくれること間違いなしです。重要なポイントを知ることで、とても美味しい「オクラ」ができるって知っていますか?
この記事では、初心者でも始められるように「オクラ」栽培の準備から収穫までに必要なポイント・注意点を分かりやすく解説していきます。
オクラの育て方
オクラは、春に植えて夏に収穫する夏野菜です。「驚くほど成長が早い」ことでも知られており、初心者の方でも栽培しやすい野菜のひとつです。地植えのほかに鉢植え・プランターでの栽培にも適応しています。ベランダ菜園にチャレンジしたい方にもおすすめです。
オクラは、種と苗どちらから始めても育てやすい野菜です。初心者の方は苗から始められるとより育てやすいでしょう。育て方に適している時期は、その年の気候や地域によって変動がありますが、気温が安定する5月中旬~6月末ころまでに苗の植え付け/種まきを行うのがベストです。
オクラの原産地はアフリカの北東部です。本来は多年草ですが、日本の気候では冬越しが難しく、一年草として育てられています。暑さには強いため、夏に収穫できる野菜として人気です。ひとつの株から次々と花を咲かせて実をつけるため、適切に管理できればたくさん収穫が行えます。
オクラの栽培準備
分類 | アオイ目 / アオイ科 / フヨウ連 / トロロアオイ属 |
---|---|
英名 | Okra / Gumbo(米) |
和訳 | アメリカネリ |
土 | 市販の野菜培養土など |
害虫対策 | 食品成分由来の薬剤/マルチビニールなど |
おすすめの肥料 | 堆肥/苦土石灰/有機配合肥料/緩効性肥料/科学肥料など |
あると便利なアイテム | プランター/支柱/ハサミ/マルチビニール/手袋など |
オクラの種類4つ紹介
1.ピークファイブ(角オクラ)
葉が小さく、密植できて倒れにくい、作りやすい五角形の品種です。莢は濃緑色、イボの発生が少なく肉厚で優れた品質です。
2.満天(角オクラ)
通常の品種よりも草丈が低く、ベランダなど限られたスペースでも栽培しやすい五角形の品種です。草丈が低いため風の影響を受けにくく、倒れにくいところが利点です。さらに、草丈が低くても収量は多く、長期間収穫できます。
3.ブルースカイ(角オクラ)
多くの農家さんが使用している品種です。莢の突起が少なく、肌が美しい五角形のオクラです。莢の退色もなく、早生でたくさん収穫できます。
4.島オクラ(丸オクラ)
沖縄県在来のオクラで、昔ながらの固定種です。角莢オクラと比べ、採り遅れても硬くなりにくい品種です。スジが入りにくく、小果~大果まで長期間収穫できます。
土のこだわり方のポイント2つ紹介
オクラは吸肥力が強いので、水はけがよく肥沃(土地が肥えていて、農作物がよくできること)な土壌を好みます。逆に、酸性の土壌が苦手です。
①畑などに地植えする場合
・植え付けの2週間前
→堆肥(1平方mあたり5kg)+ 苦土石灰(50g)を散布する
・植え付けの1週間前
→ 有機配合肥料(100g)投入し、畝を立てる
②プランターなどに植える場合
・市販の野菜培養土を使ってもいい
用土を自分で配合する場合は、〖赤玉土6・腐葉土3・バーミキュライト1の割合〗+〖石灰(用土10Lあたり)10g〗+〖化学肥料(用土10Lあたり)10~30g〗を配合して使用するのがおすすめです。
【堆肥】
稲わら、落ち葉、家畜ふん尿、食品残渣などの有機物を、微生物によって分解させ、成分的に安定するまで腐熟させたものをいいます。畑に施用された堆肥は、土壌微生物や有機酸(作物の根から放出されるクエン酸など)によって分解・溶解され、作物の根から養分として吸収されます。
【苦土石灰】
炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムが主な成分です。強いアルカリ性肥料のため、雨などで酸性化した土を中和したり、カルシウムやマグネシウムの栄養補給をするときに使用します。
カルシウムやマグネシウムを与えることで、植物の根が強くなり、葉が変色して枯れるのを防ぎツヤを取り戻してくれます。
畑などに地植えする際、畝の高さは15~20cm以上がおすすめです。高い畝にすることで、後半まで生育が良くなります。
マルチビニールを張っておくと、雑草が生えにくく害虫対策のひとつにもなります。
種から植え付けるときのポイント4つ紹介
●種の発芽適温 → 25~30℃
●種まきの時期 → 4月中旬~5月以降
●蒔く前の種 → 一晩水に浸しておく
●蒔き方
【畑】
・30cm間隔に穴(直径4~5cm/深さ1cm)をあけ、しっかり水をやる
・一箇所に4~5粒蒔き、1cmほど土を被せる
【プランター】
・1つのプランターに3~4粒蒔く
オクラの種皮は硬いため、蒔く前の種を一晩水に浸して根を出しておきましょう。植え付けを行った後に発芽しやすくなります。
植え付けた後は、発芽するまでたっぷり水やりを行いましょう。乾燥を防ぐことができます。
ポット苗から植え付けるときのポイント3つ紹介
●ポット苗が小さいうちに植え付ける
●苗の本葉が3~4枚になったら植え付ける
●育苗ポットと同じ大きさの穴をあけ、やさしく植え付ける
オクラの根は直根性のため移植を嫌います。直根性とは、根が著中深く枝分かれすることなく、真っすぐ伸びていく性質のことをいいます。太い根を少しでも痛めてしまうと植物が大きなダメージを受けてしまい、うまく根付かないので注意が必要です。植え付けの際は、根鉢を崩さないようにやさしく植えましょう。
間引き
種まきから1か月後が間引きの適期になります。
オクラは、畑に地植えした場合、一箇所に3株ほど同時に成長させて大丈夫です。一箇所から4~5芽すべて発芽したときは、元気が良いものを3株残して他の1~2芽はハサミで切りましょう。
プランターに種まきした後は、最終的に1株になるように間引きしましょう。
オクラの「お手入れ方法」
オクラに限らず、植物は手を掛ければ掛けるほど病気も少なく、すくすくと育ってくれます。植物と言葉を交わすことはできませんが、元気に成長してくれる植物の姿は、私達に栽培する「楽しさ」「喜び」「愛おしさ」をプレゼントしてくれます。最終的に果実を収穫することはもちろんですが、今よりももっと「ワクワク・ドキドキ」しながら栽培するために必要なポイントを押さえていきましょう!
栽培場所
●風通しの良い場所
●日当たりの良い場所
●冬場は室内に取り込む
オクラを育てるときは、上記のポイントをおさえた場所で栽培しましょう!
オクラは暑さには強い植物ですが、寒さには弱いのが特徴です。
気温が15℃を下回ると成長しにくくなり、10℃を下回ると生育が止まってしまいます。
オクラがいちばん元気に育つ気温は20℃~30℃以上になります。
・プランターで栽培する場合、人工的な風は良くないため、エアコンの室外機の熱風が当たる場所には置かないようにしましょう。
水やり
【夏の水やり】
晴れた日は毎日水やりを行います。たっぷりと水をあげましょう。
【冬の水やり】
夏ほどしっかりした水やりは行わなくていいですが、土が乾いたら水やりをしましょう。乾燥状態が続かないよう気をつけてくださいね。
温度と湿度
【温度】
オクラの生育温度は20~30℃になります。
寒さには弱いため、冬場は15℃を下回らないように気を付けて管理しましょう。
【湿度】
オクラは多湿環境が苦手です。風通しを良くするために、
①莢部分の葉 ②もう一つ下にある葉 のみ残し、
他の葉を落とすことで風通しを確保することができます。
日当たり
オクラは日当たりの良い場所を好み、強い日光でも枯れることはありません。
また、半日陰でも問題なく生育できます。そのため、ベランダなど日当たりが制限された場所でも手軽に栽培することができます。
土のサイクルと(追肥)肥料の調整
① 植え付けの時
→ 緩効性肥料を与える
② 実がついた時(花が開花した時)
→ 化学肥料(2~3週間に一度)/または 油かすを追肥
オクラは「肥料食い」と呼ばれるほど栄養分をどんどん吸収する植物です。
植え付けの際に入れた肥料でも、実ができるとすぐに肥料切れを起こしてしまいます。肥料が足りないと、蕾から花へ成長する際に時間がかかってしまいます。たくさん蕾があるのになかなか開花しないぁ。。。と思ったら肥料不足が原因かもしれません。
与えたときから肥料効果があらわれ、ある程度の期間効果が持続する肥料のことをいいます。しかし、チッ素、リン酸、カリの三要素の効果が平均して続く肥料と、特定の成分だけが長期間続く肥料がありますので商品を選ぶ際には注意が必要です。追肥および元肥のいずれにも使用でき、一度に溶けないため環境に対してもやさしい肥料と言えます。
害虫対策5つ紹介
1.【アブラムシ】
黄色や黒色の小さな虫。繁殖力が高く、大量発生します。葉の裏に付いて吸汁し、葉の萎縮や生育阻害を引き起こします。重症化すると落葉、枯死してしまいます。排泄物によって葉をベタベタにし、すす病や様々なウイルス病を媒介する厄介な害虫です。
ー防除方法ー
・定植時、苗にアブラムシが付いていないか確認しましょう。
・太陽光を反射する銀色マルチを敷くと、成虫の飛来を防止できます。
・天敵のテントウムシを利用して防除する方法もあります。
・アブラムシの共存相手であるアリを駆除することも有効です。
2.【ハモグリバエ】
葉の内側から侵食し、幅約2mmの白い筋のような跡を残します。被害が大きくなると、葉全体が白く見えます。幼虫が茎の内部に侵入してしまうと、作物に深刻な被害が出てしまいます。
ー防除方法ー
・防虫ネットでトンネルがけをしてみましょう。
・寄生蜂などの天敵を利用して防除する方法もあります。
3.【ヨトウムシ】
主に夜間に出てきて植物を食い荒らす害虫です。ふ化した幼虫は、卵塊の周りから複数個体で食害していきます。幼虫の行動範囲は徐々に広がり、食害もひどくなります。成長すると昼間は土の中に隠れています。
ー防除方法ー
・葉の裏に卵を見つけたら、葉ごと処分して大量発生を防ぎましょう。
・被害があったときは、付近の土を掘って駆除することも可能です。
・薬剤での防除も有効です。
4.【カメムシ】
集団で発生して葉や茎を吸汁し、株の生育に悪影響を与える害虫です。
ー防除方法ー
・茎を揺らすと下に落ちます。バケツを置いておくと触れずに捕獲できます。
・マルチや目の細かい防虫ネットを張ると、発生数を減らすことが可能です。
・発生の温床になる雑草はこまめにとりましょう。
5.【タバコガ】
体の表面に細い毛が生えた蛾の幼虫です。1匹でも次々に実を食害していきますが、雌一匹あたり500~600個ほどの卵を産む繁殖力の強い害虫です。オクラの実に穴をあけて内部から食害します。実から実へ移動していくので、放っておくと被害がどんどん広がってしまいます。
ー防除方法ー
・葉や花蕾に卵が産みつけられていないかよく観察しましょう。
・実に穴が一つ空いている場合、まだ実の中にいるので実ごと処分します。
・実に穴が二つ空いている場合、幼虫はすでに他の実に移っています。幼虫が潜 んでいる実を見つけて駆除しましょう。
収穫時期は3ヶ月
●収穫適期は7~10月の3カ月
●開花後7日~、莢が6~7cmになったものを収穫するとよい
オクラを収穫する際は、目安として6~7cmに切った割り箸などを収穫したい莢に添えてみると、ちょうどいい長さのものを収穫することができます。せっかく収穫するなら、確実に柔らかくて美味しいオクラを食べたいですよね。
オクラには、乾燥に負けないように細かくフサフサしたトゲがあります。トゲが皮膚に触れるとかゆみ・かぶれの原因になることがあります。また、トゲが刺さって痛みを感じてしまいます。筆者が素手で収穫した際、一日でオクラを触った指の指紋が消えてしまいました・・・(笑)
収穫時は、園芸用の手袋を使用することをおすすめします。また、通気性が良いように背抜きになっている手袋がありますが、手の甲が葉や幹に当たっただけでも皮膚にかゆみ・かぶれが出ることもあります。手袋を購入する際は、手のひら・手の甲をガードしてくれるゴム製加工のものをおすすめします。
植え替え
オクラは連作障害を起こす植物です。
連作障害とは、毎年同じ場所・土を使って同じ科の植物・野菜を育てると、その植物・野菜を侵しやすい病原菌や害虫などが増えやすくなったり、土の栄養が失われることをいいます。
そのため、昨年オクラを栽培した土は避け、別の場所で育てましょう。また、同じアオイ科の植物を栽培した土や場所も避けましょう。
まとめ
オクラは春に植えて夏に収穫する夏野菜でしたね。高温や雨は大好きですが低温には弱い植物なので、栽培するときは気温が温かく安定した時期や場所を選びましょう。
また、オクラにはたくさんの栄養が含まれています。ネバネバの正体であるペクチンは美容・ダイエット・便秘解消などに働きかけてくれる食物繊維のひとつです。他にも、代謝アップに欠かせないビタミンB群、カルシウム、鉄など女性に嬉しいものばかり。
ぜひ、オクラを楽しく栽培・収穫して心も身体も満たされましょう♪